街中独歩詩集

2010年6月17日 (木)

虹の魚

虹の魚は七色だ

赤い魚と橙魚 

黄色い魚と緑の魚

青い魚と藍色魚

そして最後は紫魚

昨日は何色だったのか

今日は何色なのか

明日は何色になるのか

お互い何も知らない

ただ ひたすらに

輝く太陽を待ちながら

深い海の底で

明日の色を探している

天空に虹の橋を架けようと

静かに出番を待っている

                                           街中独歩  

2009年9月12日 (土)

秋の予感

夏のひりひりした疲れと

冬の冷たさを引き連れて

秋はやって来る

ヒグラシとスズムシとコオロギの

三重奏が聞こえて来ると

確かに稲も 果物も豊かに実る

台風の前の妙な静けさと 昂奮を伴って

日本中が 秋になる

それにしても 掴みどころのない

物事がすべて うまく運ぶような

何もかもが 清算されてしまうような

人々が勝手に 自分の豊かさを求め合うような 

妙な予感 それは 秋の予感

                                           街中独歩

2009年8月 6日 (木)

自画像

歓びを詩うとき

悲しみを詩うとき

優しさを詩うとき

淋しさを詩うとき

詩をつくることに

夢中な詩人は幸福だ

カメラのシャッターを切るように

文字を写す そのとき 本当は

何も写っていないことに気づく

真っ白な印画紙の上には

黒黒とした孤独だけが広がる

                                                

街中独歩

2009年7月15日 (水)

美しき誤解

秘めやかな行為が許される時

あなたは何を望んだか

自然の中で進行する生命の宴に

あなたは何を求めたか

真実の愛と

かけ離れた忍耐との間で

人は 美しき誤解とともに

生きねばならぬのか

2009年6月23日 (火)

片想い

あなたが微笑めば 微笑むほど

僕はちょっと つらくなる

そんな時は もう過ぎた

あなたが歌えば 歌うほど

僕はとても 悲しくなる

そんな事は もう考えない

あなたが近づけば 近づくほど

僕はさらに 遠ざかる

そんな心は もう動かない

あなたが素敵に見えれば 見えるほど

僕はもっと 惨めになる

どんな想いも 伝わらない

本当はとても 好きだったのに

でも なぜ いま

突然 あなたのことが

気になるのだろう

しかし もう 手遅れだ  

2009年6月 3日 (水)

ぼくの頭から逃げた

     やさしい夢

二人きりで眠る

   静かな時間

ぼくの頭から逃げた

     たのしい夢

友と語り合う 確かな未来

ぼくの頭に帰って来た

      空しい時間

何をするでもないのに

      疲れる心

ぼくの頭に帰って来た

      恐ろしい現実

たった一人で

生きている訳でもないのに

何故か 淋しさを

求めてさまよう ぼくの夢

2009年5月 2日 (土)

五月の雨

ポタリ ピタリ

ポトポト ピタピタ

五月の雨は なみだ雨

涙のあとには 虹が出る

パラリ シトリ

パラパラ シトシト

五月の雨は めぐみ雨

恵みのあとには 若葉が萌える

サラリ ソヨリ

サラサラ ソヨソヨ

五月の雨は 天気雨

晴れた空には 夢が湧く

あなたは 五月の雨が 好き?

2009年4月18日 (土)

穴あき靴のバラード

1.

僕の靴 右脚の半足は 二十日ともたず

先っぽに 小さな小さな 穴が開き

三十日めに 大きな大きな 穴になる

二度か三度は 靴屋行き

ボツボツベタベタ  鋲と皮

ベタベタボツボツ 皮と鋲

いよいよダメなら いよいよポイ

2.

小学校から高校までは

編みあげ靴と長靴で

とても安くて済んだのに

その頃 僕の左脚

「手術をすれば カカトは着くぞ」

医者がキッパリ 太鼓判

ほんとにほんとに カカトは着いた

月着陸より 不思議なくらい

僕は すっかり有頂天

何故って皮靴 ちゃんと履けるから

ところが一難去って また一難

僕の右脚 大きな声で

「体重移動が うまくない

私ばかりに 負担がかかる」

さてと困った どうしよう

僕も よくよく考えた

冠婚葬祭 あるときは

デートや集まり あるときは

「穴が開くぞ」と判ったら

二三日前から出かけぬことだ

3.

それでもそれでも 穴は開く

とうとうとうとう この頃は

「穴なぞ滅多に開けられぬ

十日や二十日じゃ開けられぬ」

威張って 開き直りも いいところ

靴の穴 一生付き合う 友ならば

可愛いものさ 子分にしても

2009年4月17日 (金)

人は

人は どんな状況にあろうと

例え 働く姿がどうであろうと

例え お金が有ろうと 無かろうと

働かなくてはならないのだ そうだ

何よりも 人が人として有るためには

                                                 街中独歩

2009年4月 8日 (水)

悲しみのためのエチュード

また お会いしましたね

誠に 残念なことですけれど

私は あなたの傍を離れては

生きて行けない運命なのですから

以前 あなたは私と

別れようとしたとき

つつましい微笑とともに

「さようなら もう二度と

会うことはないだろう」と

この私に 力強く云われたのです

にもかかわらず あなたは

私の苦しみを またも

受け入れてしまったのです

私と再会したことで あなたが

生と死の間で さまよい 悩み

床に臥すことを強いられても

もはや それは

私の罪ではありません

誠に 云いにくいことですけれど

あなたの希望や夢は 今まで

かなり頑固だったのです

あなたが素直になればなるほど

肉体的行動力は制限され

思考能力をも低下させられて

あなたの未来に対する展望は

縮小を余儀なくされるでしょう

誠に 悲しいことですけれど

あなたの身体の中で ふたたび

私に安らぐように 命じたのは

他ならぬ あなたの不注意なのです

どうか お許しください

私は あなたの傍を離れては

生きて行けない運命なのですから

                                                街中独歩

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中谷泰記念館

  • 水浴(1942)
    中谷 泰=なかたに たい(1909-1993) 三重県松阪市生まれ。1929年上京。川端画学校に入学。石膏デッサンを始める。1930年 第8回春陽展「街かど」で初入選。1942年 第5回文展(後の日展)「水浴」で特選。以後、木村荘八に師事。1959年 第5回日本国際美術展「陶土」で優秀賞受賞。1971年-1977年 東京藝術大学美術学部教授を勤める。1975年 第2回椿会(資生堂)に「春雪」を出品、以後毎年出品。 1987年 「開館記念-世田谷美術展」(世田谷美術館)に「段丘」を出品。 第64回春陽展に「残雪」出品。 銀座東邦アートギャラリーで「自選展」開催。 1988年 三重県立美術館「中谷泰展」開催。 松坂屋本店「個展」開催。 1993年 第70回春陽展に「村の往還」を出品。 同年 5月31日 死去。 享年84歳。  この間、フランス、イタリア、スペイン、中国、ベトナム等を訪れる。  いわさきちひろ記念財団初代理事長  2010年3月13日-3月22日 第50回松阪市美術展覧会特別記念展 「宇田荻邨と中谷泰展」開催(松阪市文化財センター)  2013年10月12日-12月8日 「歿後20年 中谷泰展」開催 (三重県立美術館)

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